ふたば学舎の日常

このブログでは【NPO法人ふたば(ふたば学舎指定管理者)】からの情報をお伝えしています。

被災の語り歌コンサート、ラスト3回

今年の9月から開始した「被災の語り歌コンサート・ツアー」ですが、残り3回のコンサートの日時と会場が決定しました。

(第1回と第2回についてはコチラ↓

被災の語り歌コンサート・ツアー、第1回が終わり、次は第2回 - ふたば学舎の日常

震災の記憶を歌で、体験学習で、映画で伝える - ふたば学舎の日常

以下がチラシです。

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すべて阪神・淡路大震災の記憶を歌によって伝える内容で、シンガーソングライターの石田裕之さんに歌ってもらいますが、各回構成や出演者が異なります。入場無料、申込不要ですので、お気軽にお越しください。(やまずみ)

 

まったく余談:ローリング・ストーンズの新譜『ブルー&ロンサム』は全曲ブルースのカバーで素晴らしいアルバムですが、カバーする時のストーンズ特有のアレンジ(解釈)力に加えて、どの曲もすごく深みを帯びているのが驚きです。で、震災の記憶継承については、約22年前の記憶をいかに「アレンジ」して、記憶が有する不安定さやほころびを取り戻すかを考えたりするのですが、意外とストーンズにヒントがあったりしてと思った次第です。

今年3回目の1泊避難所体験

昨日から龍谷大学の学生さん14人を対象に1泊避難所体験を行っています。

語り部体験談、防災の知恵学習、避難スペース作り、防災ゲーム、まち歩き体験、といった内容で、学生さんらが知らない約22年前の阪神・淡路大震災を(疑似)体験してもらっています。

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今年は結局ふたば学舎で1泊避難所体験を3回実施しました。来年は何回行うかわかりませんが、2泊にすればリアリティが増すのではないかとふと思います(個人的には体力的にきついです・・・)。(やまずみ)

東京の高校生を対象にした震災講話

本日、東京都立日本橋高等学校2年生280名を対象に震災学習を行いました。

内容は、阪神・淡路大震災に関する語り部体験談です。語り部は、元二葉小学校教員の佐々木勉さん、現在長田港で漁師をされている尻池宏典さんのお二人。

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佐々木さんには地震が起きた後、避難所となった二葉小学校と担任だったクラスの子どもたちのことについて、そして震災時に高校生だった尻池さんには自宅でどのように被災されたか、その後どのような気持ちと行動の変化があったのかなどについて語っていただきました。

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生徒の皆さんは昨日、広島で平和学習を受け、今日は神戸で震災学習の後、自由行動ということでしたが、神戸の街並みを眺めながら、ふたば学舎で聞いた21年前の震災の記憶を思い起こしてもらえればいいなと思います。(やまずみ)

震災、防災、そして防災

昨日から今日にかけて3つの震災関連イベントを連続で実施しています。

まず昨日の13:30から、東日本大震災での遺体安置所を舞台とする映画『遺体~明日への十日間~』の上映会を行い、95人の方が鑑賞されました。アンケートの中には「震災の記憶を風化させない為に、又、こんな映画会をやってください」というご意見がありました。今後も震災の記憶を伝えるために上映会を実施することを考えています。

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また、昨日の14:00から今日の11:30まで、117KOBEぼうさいマスター育成会議(神戸市、神戸新聞社)主催、ふたば学舎共催の「避難所体験キャンプ」があり、小学生と保護者22人が、阪神・淡路大震災時に避難所となった旧二葉小学校(ふたば学舎)の講堂で1泊して防災の知識を学ぶ避難所体験に参加しました。このキャンプについては本日の神戸新聞に掲載されています。

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そして、今日の10:00からは二葉地区防災福祉コミュニティ・二葉ふれあいまちづくり協議会と連携し、二葉地区・駒ヶ林地区を対象とした防災訓練を学舎前グラウンドで行っています。二葉地区・駒ヶ林地区の住民のみなさん(224人)が参加され、煙体験やバケツリレーなどに取り組まれています(12:30終了予定)。

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(やまずみ)

「忘れないでおこう」

阪神・淡路大震災の記憶を歌を通して伝える「被災の語り歌コンサート・ツアー」は、これまで9/10(土)と10/1(土)に実施しましたが、

被災の語り歌コンサート・ツアー、第1回が終わり、次は第2回 - ふたば学舎の日常

震災の記憶を歌で、体験学習で、映画で伝える - ふたば学舎の日常

あと3回、来年の1/21(土)・2/25(土)・3/25(土)に行う予定です。すべて参加無料です。詳細については11月末か12月はじめにお知らせします。

で、昨日、1/21の会場である北神区民センター大ホールに音響打ち合わせのために行ってきました。きれいなホールで音もよく響きそうです。

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区民センターを出てすぐの所に「あのね」と題する像があったのですが、1/21は「あのね、22年前(!)に阪神・淡路大震災があって・・・」というふうに(音楽+映像も使って)記憶を伝えたいと思っています。当日は、「被災の語り歌コンサート」で過去の震災を振り返りながら歌を堪能し、その後、有馬温泉に行く、なんていいんじゃないでしょうか・・・。(やまずみ)

 

*「被災の語り歌」は、阪神・淡路大震災を忘れないための媒体です。過去の震災は、そこから汲むべき教訓があっても、時が経てば忘れてしまう、ゆえに忘れないでおこう、といったことは色々と言われてきました。以下はそうしたことに関するメモです。

「(おほなゐ[大地震]の後)人皆あぢきなきことを述べて、いささか心のにごりもうすらぐと見えしほどに、月日かさなり年越えしかば、後は言の葉にかけて、いひ出づる人だになし。」(鴨長明方丈記』)

「(災害を防ぐ)唯一の方法は人間がもう少し過去の記憶を忘れないように努力するより外はないであろう。」(寺田寅彦津波と人間』)

「それが災害対策の難しさです。警告を対策にまで結びつけるには、人間の忘れっぽさのことまで考えて行う必要があるのです。」(畑村洋太郎『未曾有と想定外』)

それから、NPO法人ふたば理事の和田幹司さんからご恵贈いただいた『グレーター真野の町から―震災21年の報告―』には、上記の『方丈記』の引用があり、その前に次のように書かれています、「震災の神戸と書いてきたが、明石にも、淡路にも芦屋・宝塚・西宮にも大きな被害がある。忘れないでおこう。」(p.207)

マイコテ

今日は、出先でぐらっとくる地震が起きびっくりしました。21年前に震度7を経験したとはいえ(したがゆえ?)、震度3、4あたりの大きさになるとヒヤっとします。震源鳥取県中部は震度6弱だったそうですが、被害にあわれた方が少ないことを願っています。

出先で用事が済んだ後、本町商店街にある「カギのヤマモトヤ」さんに寄って、話題のマイコテを作りました。前からどんなものか気になっていたのです。刻印を金づちで打って名前を入れればオリジナルコテが完成。facebookで紹介していただきました↓

https://www.facebook.com/%E3%82%AB%E3%82%AE%E3%81%AE%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%A2%E3%83%88%E3%83%A4-599848706832056/

それから震災のことを少し伺って、ふたば学舎の震災学習でまち歩きをしている時に立ち寄らせていただけるよう協力をお願いしました。ありがとうございます。

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(やまずみ)

震災資料の募集+震災学習雑感

ふたば学舎では現在、阪神・淡路大震災、特にふたば学舎近隣の被災に関する写真や映像などの資料を募集しています。集めた資料を用いて、来年1月~3月の間に震災資料展示を行うことを考えています。

これまで公表されたことのない震災資料がございましたら、ふたば学舎にご提供ください。

問い合わせ先は、ふたば学舎TEL:078-646-8128(担当:やまずみ)。

 

以下、震災学習に関する備忘録的雑感です。

テッサ・モーリス‐スズキは、歴史に関してはどこまで真実に近いかより「人びとが過去の意味を創造するプロセスの“真摯さ”を検討評価するほうが有益ではないだろうか」と言います(『過去は死なない―メディア・記憶・歴史』)。歴史的真実を追い求めれば、相反する夥しい量の情報に圧倒され、最後には専門家や権威に頼ってしまい、主体的に歴史と向き合う機会を放棄してしまうということが起こりえます。

震災について言えば、日本が地震大国であることを考えれば、やはり過去に起きた震災についての学びが将来的な防災/減災につながるでしょうから、専門家まかせではなく、主体的に過去の震災から「意味を創造」し教訓を学びとる必要があります。しかしどのように?

ふたば学舎では震災学習を行っていて、その主たる目的は、21年前の1995年1月17日に起きた兵庫県南部地震阪神・淡路大震災の記憶と教訓を次世代に伝え未来の防災につなげる、です。

阪神・淡路大震災については21年の間に数多くの書籍が刊行され、論文が発表され、記事が掲載され等々、情報が公にされてきました。そうしたものから震災の記憶と教訓を拾い上げることもできますが、その時の問題は「こうなって、ああなった」というふうに結末がわかってしまうということです。それがなぜ問題かと言えば、震災時にはその状況に合わせて臨機応変に行動しなければいけなくなるからで、むしろ防災上大切なのは「こうなる」という断定ではなく、「こうなるんじゃないか」という可能性を想像することでしょう。

そういうわけで、ふたば学舎の震災学習の参加者(主に中学生・高校生)には、避難所体験などのメニューを中心にして被災の追体験をしてもらっています。参加者が阪神・淡路大震災の被災者になったという想定のもとに行動することによって、自分自身の震災の記憶(=意味)を創造し、主体的に教訓を学びとるのです。

丸山眞男の言葉を借りれば(なぜ丸山なのかはひとまず置いておいて)、過去の追体験とは「今日から見てわかっている結末を、どうなるかわからないという未知の混沌に還元し、歴史的には既定となったコースをさまざまの可能性をはらんでいた地点にひきもどして、その中にわれわれ自身を置いてみる、ということです」(「幕末における視座の変革」)。

実際に震災学習の参加者がどの程度まで学びとっているか判断しかねますが(それゆえ学習効果を明確に表すことはできませんが)、震災学習を実施する側の手ごたえとしては、過去の震災の可能性をはらむ地点に戻るという学習方法は有効であると考えています。(やまずみ)