ふたば学舎の日常

このブログでは【NPO法人ふたば(ふたば学舎指定管理者)】からの情報をお伝えしています。

レコード鑑賞会復活、そして孤独は云々

誰も覚えていないであろう過去の地味イベント「R&Rレコード、きいてく?」を3月17日(金)19:00~(20:00頃まで)、ふたば学舎音楽室2にて行います。参加無料で定員は先着10名です。ビートルズのレコードを大音量でかけます(別アーティストのレコードを持ち込んでもらってもかまいません)。

レコードをただ聴くだけのイベントですが、爆音で「デイ・トリッパー」を聴くと、ギターリフにロイ・オービソンの「オー・プリティ・ウーマン」の影響を体感することができるかもしれません・・・ふらっとお越しください。

 

↓2年前に不発に終わった「R&Rレコード、きいてく?」のチラシを改変しました。元ネタはシティライツブックストアのビート詩集です。

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以下、備忘録的雑文です。

スーザン・ソンタグは「孤独は連帯を制限する、連帯は孤独を堕落させる。」(Solitude limits solidarity; solidarity corrupts solitude.)と言います(ソンタグ『良心の領界』)。

たとえば、地域コミュニティを考えた場合、人々のつながりは重要で、それに関連する事業を担当していると「つながり」や「交流」といった言葉を多用しがちになってしまい、孤独というか一人(solitude)であることの意味を見失うことがあります。それがひいては「連帯は孤独を堕落させる」になるかもしれません。しかし、(いきなりですが)スピノザ『エチカ』の自由人的な(??)発想では、自己は理性に従って善を追求し、その上で他者と連帯して全体的な能力を倍にするわけで、そもそもの孤独という観点は見過ごせないでしょう・・・。

そこで(?)、孤独と連帯が結びつくかどうかはともかく、参加者一人ひとりが音に浸る上記イベントを開催し、個々にとって有益な時間を過ごしたいと思います。ふらっとお越しください。(やまずみ)

『ゆきゆきて、神軍』上映会、原一男監督のお話は尽きず・・・

本日、『ゆきゆきて、神軍』上映会と原一男監督トークショーを開催しました。延べ70名の方にご参加いただき、『ゆきゆきて』の人気ぶりを実感しました。

それはやはり主人公・奥崎謙三さんの強烈な言動に由来するのかもしれません。奥崎さんに関する原監督のお話を聞いていると、生と死の両極に振り切っていく奥崎さんの姿が見えてきておもしろかったです。

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予定ではトークショーは1時間でしたが、話は尽きず、35分過ぎたところで(次のご予定をうかがっていたこともあり)終了とさせていただきました。奥崎さんについては1つのエピソードを話すだけで3時間半かかるそうですが、それにしても30年前のことにもかかわらず、奥崎さんに関する記憶は鮮明に残ってらっしゃるそうで、驚きです。

↓昨年出版されたご著書にサインをしていただきました。「もっと過激に!もっと自由を!」

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今回の上映会は地域活性化事業のプログラムで実施しましたが、映画を介した地域活性化についてはまた考えていこうと思っています。

ご参加くださった皆様、ご協力いただいたNPO法人神戸まちかどシネ倶楽部様、ご多忙の中時間を延長してお話し下さった原一男監督、ありがとうございました。

(やまずみ・・・次回は孤独について・・・たぶん)

明日は上映会、そして孤独・・・

明日2/4(土)はいよいよ『ゆきゆきて、神軍』上映会と原一男監督トークショーです。 

ふたば学舎(神戸市立地域人材支援センター) - 映画上映のお知らせ

トークショーでは(『ゆきゆきて』から7年後の原監督の『全身小説家』に顕著な)虚構と真実についてお話が聞けたらいいなと個人的に思っていますが、どうなるでしょうか・・・楽しみです。

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で、後は備忘録です。

アキ・カウリスマキ監督の『街のあかり』は孤独がテーマの映画ですが、フィンランドの、というかヘルシンキの孤独なんだな、というのが観ていて感じられることです(ヘルシンキには一回しか行ったことがありませんが・・・)。内容は、中島らもさん風に言えば、「なれず者」と「その日の天使」を合わせたような感じです、たぶん(説明略)。

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ところで孤独は、ヘンリー・ダーガーなどのアウトサイダー・アートに見られるように(椹木野衣アウトサイダー・アート入門』参照)、クリエイティビティに結びつくようにも思います。とはいえ、外から見ればそうであっても、孤独者からすればクリエイティブかどうかはどうでもよいことなのでしょう、きっと(説明略)。

ただそれでも、孤独がクリエイティブに見える活動に結び付く契機は何なのか気になります。キーワードは意外と「なれず者」と「その日の天使」だったりするような・・・『ゆきゆきて』にもヒントがあるかもしれません。(続く・・・と思います)(やまずみ)

震災学習、そしてまち道部

昨日1/21(土)は「被災の語り歌コンサート」を北神区民センターで行いました。今回はシンガーソングライター石田裕之さんによる「被災の語り歌」のほか、阪神・淡路大震災を体験された6人の方のインタビュー映像も流しました。参加くださったのは約100名の方々です。参加者の皆様、関係者の皆様、ありがとうございました。このコンサートについては今日の神戸新聞朝刊に掲載されています。

↓被災者インタビュー映像

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↓2017.1.22神戸新聞記事

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で、今日1/22(日)は兵庫区役所地下大ホールで行われたNPO法人アトリエ・Petataさん主催の「震災から学ぶ『防災・減災』お絵描きで手をつなごう」で防災ゲーム「防災ダック」をさせていただきました。これまで神戸のほか、広島、宮城でも実施されているイベントで、今日は親子約30組が参加されていました。

↓防災ダック、地震の絵で子どもたちは頭を守るポーズ

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さらに、で、ふたば学舎に戻って、祭りをテーマにした大人の部活動「まち道部」のミーティングを行いました。写真は次に開催予定の祭りごとイベントを部員で試している所です。

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3月実施予定にしています。乞うご期待!(やまずみ)

震災から22年の日

今日は阪神・淡路大震災から22年となる日です。

震災犠牲者遺族としての私にとっては、1.17は記憶のふるさとのようなもので、坂口安吾ではありませんが、実は「ふるさとは語ることなし」というのが震災から22年の私感であります。

しかしながら、震災の記憶継承という観点からは語ることは重要であり、共催ではありますが、今年も1月17日に震災について考え、語るイベントを実施しました。

大阪大大学院生の高原耕平さんが中心となる7人のメンバーで阪神・淡路大震災の犠牲者の名前を読み上げる「名を呼ぶ日」が1月16日の20時から17日の早朝5時半にかけて、ふたば学舎講堂で行われました(「名を呼ぶ日実行委員会」主催)。

その後、17日の10時から2時間、「名を呼ぶ日」を振り返りながら1.17について考える公開サロン「1.17その日の迎えかた、受けとめかた」が多目的室1-1で行われ、参加者同士でそれぞれの思いを共有しました。これといった結論を出すというより、(参加者の言葉を借りれば)「ざらついたもの」を各自が持ち帰ることになった感じです。そのざらつきが震災に対してこれからも継続する思いにつながるのではないかと思います。高原さんはじめ「名を呼ぶ日」実行委員の皆様、長丁場お疲れ様でした。

また、ふたば学舎1階の震災展示オープンスペースでは新たに「ふたば学舎(旧二葉小学校)で震災から22年のふりかえり」と題する16枚のパネルを展示しています。旧二葉小学校周辺の震災前後の移り変わりが写真を通してわかる内容になっています。ふたば学舎にお立ち寄りの際はぜひご覧ください。

(やまずみ)

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舞子高校で「被災の語り歌」

今年1回目のブログです。遅ればせながら本年もどうぞよろしくお願いいたします。

本日、兵庫県立舞子高等学校の1.17震災メモリアル行事にシンガーソングライターの石田裕之さんと「被災の語り歌」で30分間出演させていただきました。

1.17震災メモリアル行事

石田さんが語り歌4曲を披露、私(山住)が進行役として曲の前後で少し話をするという構成でした。石田さんによる歌と演奏は素晴らしいもので、先生方や取材に来られていた記者の方からお褒めの言葉をいただきました。

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一方、私はと言えば、大変恐縮ながら、いつものようにその時に思いついたことを話しました。ただ、言語化された震災の記憶からこぼれる記憶という話から、フィボナッチ数列1、1、2、3、5、8、13...黄金比(1:1.618...)と無理数を連想し、過去の確定した記憶ではなく、22年経った今もずっと続く(φ的な)震災の記憶を「被災の語り歌」は表そうとしているというような話をしましたが、記憶継承のあり方としておもしろいなと自分で(!)思いました。完全に自己満足で、すみません・・・。

いずれにせよ、石田さんに披露していただいた語り歌が聴いてくださった方々の心に残っていたらいいなと思います。舞子高校の先生方、関係者のみなさま、それから参加された高校生のみなさま、ありがとうございました。

ちなみに「被災の語り歌コンサート」を3回行う予定にしています。実施日は、1/21(土)、2/25(土)、3/25(土)です。参加無料、申込不要ですので、お時間があればぜひお越しください。詳細はこちらです↓

ふたば学舎(神戸市立地域人材支援センター) - 阪神・淡路大震災を忘れない『被災の語り歌コンサート』

*司会者としてできるだけ余計な話はしないようにしようと思いますが・・・。

(やまずみ)

年内最後にイベントの告知など

今日はふたば学舎、年内最終営業日です。お世話になった皆様、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

で、最後に告知や何やかんやです。

来年1/17(火)10:00~12:00に「1.17 その日の迎えかた、受けとめかた」と題する公開サロンを行います。大阪大学大学院生らで構成される「名を呼ぶ日 実行委員会」が主催、ふたば学舎が共催で、阪神・淡路大震災から22年を迎える日に改めて1.17の記憶のあり方について参加者同士で話し合います。参加無料です。

 

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それから2/4(土)10:00~14:00に地域活性化イベントとしてドキュメンタリー映画『ゆきゆきて、神軍』の上映会と原一男監督のトークショーを行います。

ふたば学舎(神戸市立地域人材支援センター) - 映画上映のお知らせ

震災関連ではありませんが、奥崎謙三という個人を通した過去の(戦争の)記憶に関する映画で、その記憶をいかに表現する(したの)かトークショーで聞けるとたぶん思いますから、私自身は過去の記憶の表現という点で震災学習の参考にもしたいなと考えています。いずれにしても強烈な映画とトークショーです。参加費は上映会、トークショー、各500円で要申し込みです。どう強烈なのか、ぜひご覧になってください。(やまずみ)

 

(以下、雑感)

今年も震災学習などの実施にあたっては無節操にいろんな所から影響を受けました。『ゆきゆきて、神軍』における演出の仕方もそうですし、たとえば深海生物オオグソクムシの「心!」のあり様なんかにも影響されました。ちなみに、森山徹著『オオグソクムシの謎』によると、発現せずに隠れている行動がオオグソクムシなどの生物の「心」ということになるのですが、そうした隠れた行動が生じる契機は何かというと、他の生物など「うかがい知れない他者」との接触なのです。他者と接点を持つことによって、隠れた行動=心が起こる・・・たとえば、災害避難所で見ず知らずの人たちが集まることを考えれば、避難者の心は・・・などなど。

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そういえば、2年前の震災20年事業の「学生による震災20年記憶のフラット化プロジェクト」(このネーミングは渡邉英徳著『データを紡いで社会につなぐ』を参照しました)で作成した防災ソング「ぼうさい☆ジャンケンポン!」のCDジャケット。デザインは外注しましたが、口ずさみながら防災の基本的動作を学ぶ明るい曲調の歌ですので、ジャケットはポップにしたくて、デザイナーの方にThe Whoリキテンスタイン風アルバムジャケットみたいにして下さいと伝えました。

何だか常に何かの影響を受けています。

↓左が「ぼうさい☆ジャンケンポン!」、右がThe WhoTHE WHO HITS 50!』のジャケット

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