ふたば学舎の日常

このブログでは【NPO法人ふたば(ふたば学舎指定管理者)】からの情報をお伝えしています。

「ハッケン教室~大学生と防災を学ぼう!~」で発見したこと

8/26(土)10:30~15:00に震災学習の夏休み企画「ハッケン教室~大学生と防災を学ぼう!~」を実施しました。

小学生5名と高校生1名が、ボランティアとして参加した神戸市外国語大学の学生7名といっしょに、避難スペース作り・災害食体験・災害時の知恵学習・まち歩きというメニューを通して防災を学びました。

外大生には、ハッケン教室の最初に、それぞれが大学で学んでいる外国語(英語、イスパニア語[スペイン語]、ロシア語)を使って自己紹介していただきました。みなさん非常に堪能で、いいアイスブレイクになりました。さすが外大生!それを聞いていて、神戸にいると災害時に被災した外国の人(海外にいる場合は自分が外国の人)とコミュニケーションをとらざるを得ないこともあるかもしれませんから、外国語の知識は重要だなと改めて思いました。

各メニューでは学生と子どものペアで活動してもらいました。経験したことのない震災について、学生さんが子どもをサポートする形で、互いにいろいろと想像力を働かせて考えてくれました。

避難スペース作りでは、避難所生活になると、赤ちゃんが泣きわめくことがあるだろう、わがままな人も出て来るだろう、風邪とか病気がひろがるだろう、などの意見が出ました。こうなるかもしれないという想像が出来ていれば、それだけ災害に対する備えが万全に近づくのだと思います。

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ポリ袋を使った災害食体験では、米を炊いて、カレーを作りました。炊飯は水の量と炊く時間の調整が難しく、おだんごっぽくなったりしましたが、ポリ袋で作ることができるということで、子どもたちには強く印象に残ったようです。

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災害時の知恵学習では、長田消防団第一分団の楯川さんにロープの結び方と救助法をご指導いただきました。担架を用いずに人を運ぶ方法については、参加者全員「へぇ~!」と驚嘆の声をあげていました。実際にやってみて、さらに納得です。

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最後は、神戸アーカイブ写真館の石井さん(元神戸市職員)のガイドでまち歩きを行いました。防災公園として整備されている水笠通公園まで行きましたが、学生さんからは「神戸に来てから公園がとても多いなと感じていた。阪神・淡路大震災の教訓を生かして防災のために設置されているのだと分かって」一番印象に残ったという感想をいただきました。

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今回、震災経験者が講師役となり、学生と子どもがペアで参加/体験するという形で震災学習を実施しました。学習形態については、体験メニューでは参加者が主体的に学ぶことになりますが、必ず含まれる講師から参加者という一方向の「教える」部分が、年齢差があっても若い(!)ペアで参加していることですぐに「学び合う」という活動に転換されていたようでした。こうした学習形態が過去の(体験者が減ってきた)震災の記憶と教訓の継承にすごくマッチしている、ということが私の「ハッケン」です。

今回参加のみなさんが防災についてたくさん「ハッケン」してくれていたらいいのですが。(やまずみ)

盛況だった夏祭り!

昨年に続き8月19日(土)にふたば学舎で行った夏祭りは540人の参加があり、盛況のうちに終えることができました。

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祭りを通して顔見知りの多い地域を作ることを活動目的とする「まち道部」による夏祭りでしたが、前回よりも参加者が多く、定着の兆しを感じました。定着すれば、それこそ毎回参加される方も増え、地域の面識化に貢献できる祭りになるのではないかと思います。スタッフとして活躍くださった、まち道部部員の皆様お疲れ様でした。

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工作教室では、1教室をいつものように「葉っぱ先生」にお世話になり、また、3教室を若手芸術家集団の芸法さんに実施していただきました。ありがとうございました。

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それから、今回も長蛇の列ができ好評だったお化け屋敷では、昨年同様「コスメル。」の5名の方々にお化け役でご協力いただきました。ありがとうございました。

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お化け屋敷の中で泣き出す子が多くいて変装効果バツグンでした。(やまずみ)

8/26(土)ハッケン教室~大学生と防災を学ぼう!~参加者募集中&余談

8月26日(土)10:30~15:00開催予定の「ハッケン教室~大学生と防災を学ぼう!~」は、日が近づいてきましたが、まだ参加者募集中です。対象は小学3年生~中学生、参加費無料です。大学生といっしょに避難所体験や災害食作り、防災に役立つ知恵学習、まち歩きを行います。学校の夏休みの自由研究に活用できると思います。申し込みをお待ちしています!(やまずみ)

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★以下、余談/雑文

夏なので、歩いていると葉の生い茂る木々や雑草群がよく目につきます。あれを見ると頭の中ですぐ、つげ義春さん(あるいは水木しげるさん)が描く木々に変換されてしまい、困ることはありませんが、何だか現実とイメージがくっついたり離れたりして見えてきます。

現実ではなくイメージに自分を合わせていく人々の傾向については過去にダニエル・ブーアスティンの『幻影の時代』なんかでも(たぶん)言及されていましたが、言語の使用においても現実との乖離は必然的にあるわけで、それは井上忠さんが言うところの言葉の「繭化作用」(だったと思う・・・)に起因するのでしょう。つまり、言葉で現実を捕えると、現実は言葉で覆われ、言葉を使う者は現実から保護されると。

ここから強引に話を震災学習にするなら、そこでは語り部体験談に顕著なように、言葉を中心的な媒体として用いているわけで、そうである限り震災は繭によって遮断されます。震災は現実的なことから隔たりますが、ただ、震災学習においては繭がある方がコミュニケーションはとりやすく、そして内容もわかりやすくなり、学習が円滑に進むでしょう。結局、言葉を使うほかないのですが、それなら言葉を現実に先行させずに(言葉の繭をほどいて)ダブらせたり交差させたりなんかすればいいのか、それはどうやってするのか・・・おぼろげな答えとして、言葉を発するという運動も含めて体を動かす、というのがふたば学舎で体験型の震災学習をやっていて思うところです(いつもながらの堂々巡りですが、果たしてこのブログを[しかも蛇足部分まで]いつも読んでいる人がいるのか???)。

本日、ウエルネ・スダーツ大会、そして8/19(土)夏祭り

本日、「まち道部」主催の第3回ウエルネ・スダーツ大会を行いました。16名の参加で、全員リピーターの方でした。

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このダーツ大会は、だれでも気軽に参加できて、一度経験すると、きっとやみつき!になります。やみつきになるのに健康にいい!ダーツ大会の次回は9/10(日)13:30~15:30です。参加申し込みお待ちしています。

そして、「まち道部」主催の次のお祭りは、8/19(土)開催の夏祭りです。楽しさいっぱいの夏祭りの詳細は以下のチラシをご覧ください。

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たくさんのご来場お待ちしております!(やまずみ)

県立大でふたば学舎の震災学習について講義

今日は兵庫県立大学神戸防災キャンパス(人と防災未来センター東館)で講義をさせていただきました。大学院減災復興政策研究科の阪本准教授がご担当の科目「災害の記憶と継承論」において、ふたば学舎の震災学習の取り組みを紹介するという内容です。以前、阪本准教授とふたば学舎で別件の打合せをしていて、ひょんな流れで今日講義ということになりました。

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ふたば学舎の震災学習は阪神・大震災の記憶継承に関わるものですが、その「記憶」にからむ難点を中心に話しました。たとえば、割り切りがちな「われわれ」の記憶=「阪神・淡路大震災」の記憶と表象不可能な言語の臨界点にまで至る「私」という個の記憶との齟齬をいかに同じ記憶継承の場に載せることができるかや、震災「学習」の中でいかに震災の「記憶」を位置づけるかなど(震災学習のコンセプトに係わることですが)、参考文献を使いながら説明しました。実際の震災学習は決められた時間枠でかっちりと行うようにしていますが、コンセプトの部分はけっこうグチグチ、だら~んとやっているなと自分で思います。

それはともかく、院生のみなさんは既に震災・防災に関連する活動をされていたり、阪神・淡路大震災で被災体験をされていたりするそうで、今後ふたば学舎の震災学習で協力してもらおうと考えています。阪本先生、大変有益な機会を与えてくださり、ありがとうございました。

今日の講義で参考にした主要文献は以下の通りです。講義内で言及したものもありますが、これら参考文献から今日どんな話をしたのか、あるいはふたば学舎の震災学習での私の思考癖みたいなものが見えてこないでしょうか??

井上忠『モイラ言語』、フーゴ・フォン・ホーフマンスタール「チャンドス卿の手紙」、サミュエル・ベケット『名づけえぬもの』、ルードヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン論理哲学論考』、ナシーム・ニコラス・タレブ『反脆弱性』、ダンカン・ワッツ『偶然の科学』、丸山眞男「幕末における視座の変革」、高木光太郎『証言の心理学』、渡邉英徳『データを紡いで社会につなぐ』、額田勲『孤独死』、塩崎賢明『復興<災害>』、村上龍『半島を出よ』、木村玲欧『災害・防災の心理学』、水野リカ『学習効果の認知心理学』、ジェームズ・L・マッガウ『記憶と情動の脳科学』、テッサ・モーリス-スズキ『過去は死なない』、映画『ゆきゆきて、神軍

(やまずみ)

8/26(土)「ハッケン教室~防災を学ぼう!」告知と余談:過去から学ぶことについて

8/26(土)10:30~15:00に震災学習の一環として夏休み期間中の小・中学生を対象とした「ハッケン教室~防災を学ぼう!」を実施します。避難所体験や災害食体験など様々な体験メニューを行う予定ですが、神戸の大学生に子どもたちのサポート役として協力してもらうことにしています。参加申込みについてはコチラ→http://futabasyo.jp/?p=1127

 

以下、余談(備忘録)です。

阪神・淡路大震災の記憶を伝える震災学習を担当していて、過去から学ぶとはどういうことなのかよく疑問に思っています。

以前ブログ(http://futabasyo.hatenablog.com/entry/2016/10/20/161208)で丸山眞男の「幕末における視座の変革―佐久間象山の場合―」から次の文章を引用しました。

過去の追体験とは「今日から見てわかっている結末を、どうなるかわからないという未知の混沌に還元し、歴史的には既定となったコースをさまざまの可能性をはらんでいた地点にひきもどして、その中にわれわれ自身を置いてみる、ということです」(丸山眞男『忠誠と反逆』[ちくま学芸文庫]所収)。

過去を現在という時間的に離れた所から見ると、どうしても現在の状況に引き寄せて考えてしまいます。そこで丸山は、過去を一度きりのことではなく、現在でも起こり得る可能性があるものとして捉えるために、歴史的な出来事を「『典型的な状況』にまで抽象化していく操作が必要」だと言います。「典型的な状況」とは何か?

この論文では佐久間象山という幕末の思想家をめぐる考察がされているわけですが、攘夷論から開国論に転じる象山の現実的な主知的合理主義について丸山は、それは権威的な知的エリート主義ではなくて、客観的な認識に基づくもののように捉えています。ただ、その認識の仕方が象山の場合、「たんにあるものをあるがままに眺めるという静観的、受動的な態度から出て来るものではなく、逆に不断に対象に働きかける強烈な能動的=自主的な主体を前提にして」いたのです。

象山の状況認識と分析と行動は裏目に出て結果的に攘夷派に暗殺されますが、とはいえ複眼的な認識と積極的な関与が必要な状況だった(象山が生きた)過去を、過去それ自体を媒介に現在化し、今につながるものにできれば、象山の思考方法から現在のわれわれが学びえるものが見えてくるわけです。

さて、過去を過去から見る時、いくつもの可能性が目前に開かれ、現在の自分事として客観的な認識が要求される・・・たとえば、過去から学ぶことをこのようにまとめてしまうと何だか薄~くなりますが、レトリックの問題なんでしょうか???(やまずみ)

日常の備忘録

6月25日(日)、大人の部活動「まち道部」による今年度2回目のウエルネスダーツ大会を開催しました。ふたば近隣地域の24名の参加者が老若男女入り混じる6チームに分かれてゲームを行いました。f:id:npofutaba:20170625140946j:plain

当日の盛り上がった様子は、ご協力いただいている日本ウエルネスダーツ協会さんのフェイスブックにアップされています。

https://ja-jp.facebook.com/wellnessdarts/

 

 翌日の6月26日(月)、長田消防署・神戸市防災コミュニティセンターで行われた防災マネジメント研修に参加しました。おおむね小学校区ごとにある防災福祉コミュニティの方たちを対象にした、防災の知識とマネジメント能力を向上させるための講義とワークショップという内容でした。

 

そのまた翌日の6月27日(火)、つまり昨日ですが、駒ケ林小学校で毎年行われている船岡フレンドシップ交流で震災学習を実施しました。これについては、ふたばのフェイスブックに写真をあげました。https://www.facebook.com/futabasyo/ 

 

上記3つは、内容は異なりますが、日常で顔見知りが多い地域ほど安全で住みよく、ひいては防災・減災力が高くなる、ということに通じていく活動だと言えそうです。問題は異なる活動をいかにつなげられるかですが、どうしましょ・・・(やまずみ)