ふたば学舎の日常

このブログでは【NPO法人ふたば(ふたば学舎指定管理者)】からの情報をお伝えしています。

愛知大学で避難所運営についてプレゼン

2月20日(火)、愛知大学地域政策学部の先生と職員の方々で構成される地方産業研究所災害研究会で、ふたば学舎における避難所運営の考え方についてお話しさせていただきました。

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話の内容は、①ふたば学舎(旧二葉小学校)の成り立ち、②阪神淡路大震災時の被災状況、③震災後から23年に至る(人口動態など)状況の変化、④避難所になった時の運営主体(主に防災福祉コミュニティ)と取り組み、⑤ふたば学舎の震災学習、⑥避難所運営における課題、という6点に絞りました。避難所となる場そして周辺地域の歴史・環境(また、それらの中で形成される地域性)が避難所を運営する際に影響すると思われますから、そうしたことについてお話ししたのですが、それは第一に、予想される避難者(避難所運営主体を含む)の動きを考えるためでもあります。多様な人が集まる避難所では様々な想定外の事が起き、人の動きが予測不可能になります。そこで、先週、23年前に避難所となった神戸市立蓮池小学校の運営に携われた元長田区役所職員の清水誠一さんに改めてお話を伺っていたのですが(これまで何度もご教授いただいています)、清水さん曰く、避難所は初動期に運営本部の態勢を整えられるかにかかっているとのことでした。今回の話(=避難所運営の考え方)のいちおうの結論も初動期の重要性ということにしましたが、たとえば災害という出来事が起こる前に不確実な事柄への対応を考えていれば、初動期の運営組織の整備も比較的スムーズにできるかもしれません。そのためには災害時に見失われやすい女性の視点、子どもの視点、高齢者の視点、障がい者の視点・・・等々、多角的な視点が必須であると終了後の質疑応答で再認識させていただきました。逆に色々と学ばせていただいたという感じです。

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追記:避難所での食物アレルギー対応は、その人(特に子ども)にとっては命にかかわることですが、期待しにくいものです。が、ご出席の先生から、阪神淡路大震災の時に食物アレルギー対応の食べ物を送ってほしいとのリクエストに応えてダンボールに詰めて郵送した、という話を伺いました。今でも同じことがあれば救援物資として提供できるようご自宅に保管されているそうです。そういう備えもあるのかぁ、ということで見習いたいと思います。(山住)

脱力プログラム「ロックの名曲だと思います」告知

3月2日(金)19時~20時に「ロックの名曲だと思います」と題するマイナーイベントを音楽室1で行います。要申し込み(電話:078-646-8128)で、持ち物は洋楽ロックの名曲だと思う曲が入っているCDです。イベント内容は、ただCDを聴いて、参加者同士で「なるほどねぇ~」と思い合う(あるいは語り合う)優しいのものです。全然力んでいません。脱力したい方どうぞ。(やまずみ)

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余談:これまでマイナーイベントとしてレコード鑑賞会を行ってきましたが、今回はCDです。CDにした理由は特にありません。レコードよりCDを持っている人の方が多いだろうな、くらいです。レコード鑑賞会も楽しいイベントでしたが、今回も楽しいと思います。参加するとなれば、どの曲にしようかと迷うはずで、すでにその迷いの時点で楽しいですね。やっぱりベタなのは外して、NRBQあたりなんてどうかな、じゃあDave Edmundsの曲は?、などなど・・・所有CDを確認しながら(聴きながら)曲を選ぶのは本当に脱力できます。さて、当日どんな曲が集まるかわくわくします。

 

「和田幹さんの震災定点観測日記」新聞掲載

2月4日(日)多目的室1-4で講演会「わだかんさんの震災定点観測」を行いましたが、その企画のきっかけとなったパネル展示「和田幹さんの震災定点観測日記」に関する記事が今日の神戸新聞に掲載されました。Web版にも載っています。神戸新聞さん、ありがとうございます。

神戸新聞NEXT|神戸|震災からの復興を定点観測 神戸・長田で写真展

4日の講演会には29名の方々にご参加いただきました。講師のわだかん(和田幹司)さんには、1時間強、プロジェクターで映し出した定点観測写真パネル毎にエピソードを交えながらお話しいただきました。阪神・淡路大震災から23年もの間にわかだんさんが見てこられたことを語るには全く短い時間でしたが、ご参加のみなさんは興味深く聴いておられ、質問コーナーではご自身の体験談なども語っていただきました。震災の記憶を参加者同士で共有できた講演会でした。(やまずみ)

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余談:歴史は語られることによって形を成していきますが、定点観測をテーマに語ろうとすると、語る時点で形は変化します。十年後にまた話しをすれば、十年間の変遷が追加され、さらに過去の記憶が曖昧になったり解釈が異なったりして、内容は変化し続けるでしょう。歴史は動的なわけです。しかし、語られなければ忘れ去られます。わだかんがおっしゃっていたことで印象的だったのは、わだかんさんのように被災について話す人もいれば、被災しても語らない人もいるということでした。23年が経過しても阪神・淡路大震災の被災の記憶には隙間があるようです。

市民防災リーダー研修

本日、神戸市防災コミュニティセンター(長田消防署4階)で開催の、市民防災リーダー研修を受けてきました。

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参加者は長田区の各防災福祉コミュニティの方々(私は二葉防コミ)で、土砂災害・地震津波に関する座学のほか、車イスの階段搬送法、小型動力ポンプによる放水、家庭内の身近な物を利用した応急手当を学びました。車イス搬送と動力ポンプはけっこう力がいりますから、災害時に率先して動く人は備えとして体力をつけておく必要があるなと実感しました。

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応急手当ではレジ袋を使った簡易三角巾を学びました。情報として知ってはいましたが、実際にやったことはなかったので、忘れないよう職場に戻ってきて作ってみました。これは簡単なので、ふたば学舎の震災学習で取り入れようと思います。

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修了式に神戸市民防災リーダーの腕章をいただきました。

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ふたば学舎は緊急避難場所・避難所に指定されていますから、災害時に避難場所としてきちんと機能するよう地域の人たちの協力を得ながら整えておかなければ・・・改めてそのように思った研修でした。(やまずみ)

震災学習の実施(備忘録)

1月は3件の震災学習を担当しました。

(1)1月6日(土)から、ふたば学舎1階の震災学習オープンスペースで、パネル展示「和田幹さんの震災定点観測日記」を公開しています。

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定点観測写真を撮影されたワダカン(和田幹司)さんには2月4日(日)13:00-14:30に多目的室1-4で講演をしていただきます。

講演会「わだかんさんの震災定点観測」 | ふたば学舎

(2)1月13日(土)にイベント「遊んで学ぶ 子ども防災ワークショップ」を実施。参加者は28名。衣・食・住、それぞれで防災グッズ(ゴミ袋カッパ[衣]や牛乳パックスプーン[食]や段ボール防災スペース[住]など)を作りました。芸術家集団「芸法」による企画でしたが、段ボールを三角形に切り分け、それをレゴのように組み合わせて防災スペースのほか机などを作るというのは、楽しく遊べるアイデアでした。

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(3)23年前に阪神・淡路大震災のあった1月17日(水)には神戸市立西舞子小学校へ行き、学年ごとに分かれての震災語り部体験談を行いました。同校への出前震災学習は今回で4度目でした。どの学年の子どもたちも真剣に語り部さんの話を聴いていました。f:id:npofutaba:20180117105642j:plain

(やまずみ)

 

余談:大月敏雄著『町を住みこなす』(岩波新書)の中に「コミュニティ必要曲線」という図が載っています。それによれば、人がコミュニティ(その定義はともかく)を特に必要とするのは、自分が乳幼児である、親になって子育てをしている、高齢でご近所に見守られるようになる、そうした時期ということで、それ以外の1人で生きていけるような時期は必要度が低くなります。大震災が起きた時、コミュニティは重要だと言われるけれど、コミュニティを必要としないのであれば???

子ども防災ワークショップ

1月13日(土)13:30〜16:00に3階・講堂で小学生以上の子どもを対象にした震災学習イベント「子ども防災ワークショップ」を行います。防災グッズを作ったり、ゲームをしたり、体を動かして楽しみながら防災について学んでもらうワークショップです。参加無料、申し込み不要です。詳細は以下チラシをご覧ください。

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今回のイベントの中身は若手芸術集団のNPO法人芸法(げいほう)さんに依頼しました。震災学習事業担当者として、外部の芸術家の人がどのように防災に関するイベントを展開するか楽しみにしています。また、これまでの当館の震災学習では見られなかったおもしろいやり方があれば、今後の震災学習で取り入れたいなとも思っています。どうなるでしょうか。

 

以下余談。今日、出勤前にクライストの短篇「チリの地震」を再読(前に読んだのは10年以上前?)したのですが、ずっと登場人物の言葉がすれ違うのに怖くなりました。1647年にチリで(実際に)起こった地震の前後が舞台で、災害ユートピア的な場面もありますが、訳者の種村季弘さんの言葉を借りれば、登場人物たちは、「彼らの間には接触不能の透明な薄膜が張られでもしたように言葉が通わず、ために人間関係がたえず猜疑と不信の非伝導物質にさえぎられて悲劇の淵に引き込まれてゆく」のです。文学が震災の記憶に寄与する、ひとつのあり方だな、と偉そうに思った次第です。今年最後の余談でした。(やまずみ)

11月に実施したイベント振り返り

あっというまに12月(おお、パンタレイ・・・by頭脳警察)。11月はブログを一つもあげていませんから、備忘録的に先月実施担当したイベントについて記しておきます。

まず、11月5日(日)に毎年恒例の、二葉地区防災福祉コミュニティ、二葉ふれあいまちづくり協議会と連携した二葉ふれまち防災訓練を実施しました。ふたば学舎近隣にお住いの方々が多数参加し、煙体験や消火器訓練などを行いました。防災に関するコミュニティ維持にはとても大切なイベントです。

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19日(日)には震災関連映画として遠藤ミチロウ監督『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』上映会を行い、17名の参加がありました。ミュージシャン・遠藤ミチロウが震災を機に故郷・福島に向き合うドキュメンタリーですが、個人の震災の捉え方には人それぞれ差(色んな違い)があることを知るのによい映画だったと思います。東日本大震災にせよ阪神・淡路大震災にせよ震災の経験は一様ではない・・・。

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21日(火)には倉敷市立庄中学校2年生156名を対象に震災体験学習を実施しました。2時間ほどの避難所体験を中心にしたプログラムでしたが、生徒のみなさんはグループになってあらかじめ(父親やおばあさんや小さな子どもなど)役割を決めた上で、てきぱきと避難スペースを作り、避難所で起こり得る問題を発表してくれました。避難に対する感じ方は一様ではない・・・。実施側としては、短時間でいかに効果的に避難所疑似体験ができるかという課題が残りました。

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そして26日(日)は今回で8回目となる「まちの文化祭」を開催。ふたばスタッフ総出で取り組みましたが、舞台・展示・屋台で参加された皆様のおかげもあり、結果、昨年を上回る4,200人の来場者で盛り上がりました。

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ここまでくると、まちに定着した秋の祭りと言っていいのではないかと思います。ご来場の皆様、開催にご協力いただいた皆様、ありがとうございました。(やまずみ)