ふたば学舎の日常

このブログでは【NPO法人ふたば(ふたば学舎指定管理者)】からの情報をお伝えしています。

阪神・淡路大震災25年イベントのお知らせ

2020年1月17日で阪神・淡路大震災から25年が経ちます。ふたば学舎(旧二葉小学校)では毎年1月17日当日もしくは前後の日に震災イベント「1.17やさしさわすれないでinふたば」を開催していますが、今回は2020年1月13日(月・祝)に震災25年イベントとして実施します。

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「やさしさわすれないで」というのは、震災から3年後に二葉小学校の(震災で壊れた)焼却炉のレンガを使って製作された震災モニュメントに掲げられた言葉で、全校生の投票で選ばれました(この震災モニュメントは現在ふたば学舎前の花壇に設置されています)。今回の震災イベントは「やさしさわすれないで」の原点に戻り、「こども」に焦点を当てた内容になっています。13時からの第一部では震災当時二葉小学校に通っていた元児童の方々(5名予定)をお招きし、震災のことと今振り返って思うことを語っていただきます。14時10分からの第二部では、震災から15年目に制作された映画『その街のこども』(2010年、森山未來佐藤江梨子主演)の上映会を行います。会場はふたば学舎3階講堂で、参加無料、申し込み不要、先着順です。また、同時開催として14時10分から1階多目的室1-2で「こども防災塾・防災お菓子ポシェット作り」を行います。こちらは事前申し込みが必要(申し込み先はふたば学舎)で、対象は小学生、定員30名、参加費100円となっています。

もう震災から四半世紀ですが、震災当時、被災地の様々なところでもらった/渡した「やさしさわすれない」よう未来につないでいくイベントにしたいと思います。多くのご参加お待ちしております。(やまずみ)

おいしい災害食、そして次回震災学習イベントの告知

今月は震災学習で2度ほど災害食を食べました。

9月7日(土)~8日(日)の龍谷大学政策学部9名を対象とした1泊の震災学習ではイタリアンスパゲティとりんごのコンポートを、9月19日(木)の明光学園中学校46名を対象とした震災学習ではカレーを作りました。ポリ袋に具材を入れて湯せんする災害食ですが、ぜんぜんおいしかったです。

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また、それらの震災学習の間に2度ほど震災に関する勉強会/講演会を実施しました。

9月11日(水)には認定NPO法人まち・コミュニケーション主催、ふたば学舎協賛で、東日本大震災津波で流され生還したという阿部晃成さん(東北大学課外・ボランティア活動支援センター、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程)による講演、9月14日(土)には「どうなる?どうする?避難所のトイレ問題」と題して、NPO法人日本トイレ研究所の松本彰人さんによる講演を行いました。

避難所のトイレ問題に関するイベントは引き続き10月26日(土)に対策ワークショップ編として実施します。(やまずみ)

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防災キャンプ:避難所体験24hの実施

8月6日(火)13時~7日(水)12時にかけて館内で1泊の防災キャンプを実施しました。主催は一般社団法人「おいしい防災塾」、ふたば学舎は協賛です。参加したのは、小・中学生15名、高校生5名、大学生6名、大人スタッフ4名でした。

 1日目は、まず防災障害物ミニ運動会ということで、子どもたちがでこぼこ道や紙食器作り、防災クイズなどに挑戦しました。

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そして、みんなで楽しく防災お菓子ポシェットを作り、夕食にポリ袋で米を炊き缶詰をおかずにして食べました。

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21時30分には講堂で段ボールを敷いて就寝でしたが、子どもたちは(学生さんも)普通に良く眠れたそうです。大人だとなかなか寝付けなかったり、翌朝体の節々が痛くなったりします・・・。今回は熱中症のことを考えて、エアコンをゆるめにかけたままにしましたが、夏場の実際の避難所ではエアコンがなければとうてい眠れないだろうし危険だろうと改めて思いました。

2日目は、朝ご飯に災害食としてホットケーキミックスを材料に蒸しパンを作りました(ふわふわでおいしい!)。

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その後、一般財団法人「大吉財団」の災害キャンピングカーを内覧しました。ボランティア活動をする際に必要なシャベルなどの道具一式が揃っていて、車内はボランティアが快適に休憩、自炊できるようになっています。

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車内に入った子どもたちからは「すごーい!」や「大人になったら買おう!」といった声があがっていました。ちなみに大吉財団さんは、去年の西日本豪雨の時にこのキャンピングカーで岡山・真備町へボランティアの復旧作業に行かれたそうです。最後に振り返りの発表会を行って防災キャンプは無事終了しました。参加した子どもたちは防災キャンプの間ずっと元気で楽しそうに防災について体感しながら学んでいました。災害時には苦しい状況を跳ね返すような力が大切であることを感じとったのではないかと思います。(やまずみ)

震災体験学習の実施

昨日、倉敷市立倉敷第一中学校235名を対象に震災体験学習を講堂で行いました。学習をはじめる前に生徒の皆さんは、これから阪神・淡路大震災の記憶と教訓を学ぶということで、震災の犠牲者に黙祷を捧げられました。

学習内容はスライド学習と新聞紙スリッパ作り、避難所体験でした。避難所体験では、大人数ということもあり、大規模災害時の避難所さながらに一時的に混沌としましたが、皆さん切り替えが早く、10分ほどで避難スペースを作った後、生活不活発病など避難所で起こり得る問題を考える活動にスムーズに移ることができました。

f:id:npofutaba:20190711143319j:plain実際の避難所では情報が錯綜することもあって中の状態が落ち着くまでかなり時間がかかると考えられます。それでも、切り替えの早さは、避難所生活を送ることになった場合に、周りの人と協力して様々な不便さに対処していくためにも重要であるでしょう。

昨年7月の西日本豪雨では倉敷も大きな被害を受けました。水害では事前に早めに避難して一人ひとりの命を守ることが最優先されますが、(震災も含めて)事後の避難所では全体の生活を守ることが必要になってきます。そうしたことは、震災体験学習が終わった後の解散式での生徒さんの言葉を聞くと、しっかり学ばれているなと思いました。(やまずみ)

防災ワークショップ「どうする?避難所運営」の開催

昨日7月3日(水)、防災ワークショップ「どうする?避難所運営」を実施しました。神戸市内の防災福祉コミュニティや社会福祉協議会、民生委員など災害時の避難所/福祉避難所運営にかかわる方々、そして兵庫県立大学大学院の院生、計21名の参加がありました。

ワークショップは二部構成で、まず昨年7月の西日本豪雨の被災地となった広島県三原市西部の松江・小原地区で避難所運営に携われた宮垣里枝さんにその体験談を語っていただきました。

f:id:npofutaba:20190703125148j:plain7月6日に避難所となった沼田西小学校には一時避難者も含めて約70名の方が避難され、主婦の宮垣さんは閉所される8月25日まで運営にかかわられました。それまで避難所の経験や知識のなかった宮垣さんは、行政やボランティアなどの支援を受けながら、避難者と協力して状況に応じた運営を続けたのですが、特に手洗い・消毒などの衛生管理は徹底し、食中毒や感染症の予防に気をつけたそうです。その他、生活の細やかなことについては男性だとなおざりにしそうなことがありますから、避難所にはやはり女性視点が欠かせないことがわかりました。

その後の二部では、福祉避難所運営シミュレーションゲームを、兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科・阪本真由美准教授の指導の下、おこないました。

f:id:npofutaba:20190703142123j:plain福祉避難所は通常の避難所での生活が難しい障がい者・高齢者・妊産婦などの要配慮者を受け入れる施設ですが、実際の災害時に設置されないという問題があります。設置の難しさは、病院や福祉施設と通常避難所の中間に位置することが一因となっているようです。今回おこなった机上のシミュレーションゲームでは、南海トラフ地震が起き、参加者が避難所となったふたば学舎の職員として対応するという想定で、カードに記載された要配慮者を適切な場所に配置していきました。その配置の途中でいくつものイベント(出来事)が起き、対応が求められるのですが、糖尿病性網膜症など聞き慣れない用語を確認する必要があり、みなさんイベントごとに想像上の対応に追われていました。

f:id:npofutaba:20190703152924j:plainゲームをおこなったのは90分ほどの短い時間でしたが、みなさんの福祉避難所に対する意識を高めることができたように感じました。もし今後、災害時の避難所運営にかかわることになれば、二次避難所である福祉避難所の開設についても考え及ぶ必要がありますので、今回のシミュレーションが参加のみなさんにとって防災/減災のさらなる備えを考えるきっかけになったらと思います。(やまずみ)

国際シンポジウム「防災学習とコミュニティ再建」の実施

6月22日(土)13:00~17:00に国際シンポジウム「防災学習とコミュニティ再建」(Disaster prevention learning and rebuilding communities)を実施しました(主催:ふたば学舎、共催:関西大学文学部山住勝広研究室)。参加者は14名でした。

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はじめの基調講演では、オークランド大学のキャロル・マッチ(Carol Mutch)先生が2010年から2011年にかけてニュージーランドカンタベリーで発生した地震について、被災した学校の校長などの言葉を紹介しながら、災害時のコミュニティに対する学校の役割を話されました。

基調講演の後、やまずみが「二葉における震災体験学習と地域コミュニティ」と題して阪神・淡路大震災後のふたば学舎での震災学習の取り組みについて話し、次に認定NPO法人まち・コミュニケーション代表理事の宮定章氏が「コミュニティ再建と防災学習」として神戸市長田区御蔵地区の震災後の再建状況と地域にとっての震災学習について発表され、つづいて兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科の阪本真由美先生が「災害対応における学校とコミュニティ」というテーマで阪神・淡路大震災東日本大震災そして熊本地震での避難所に言及しながら避難所として利用される学校施設とコミュニティの問題について述べられました。

f:id:npofutaba:20190622153622j:plain最後に全体討論を行いましたが、やはり災害時には避難所となる学校と地域コミュニティの連携が必要であるということが改めて認識されました。その連携に防災学習がいかに貢献できるかが課題として残りましたが、様々な意見が出て充実したシンポジウムになりました。その課題については今後ふたば学舎の震災/防災学習でも考え、課題解決の実践をしていきたいと思います。(やまずみ)

防災まちにげワークショップの実施

6月9日(日)11時~15時に「防災まちにげワークショップ」を行いました。阪神・淡路大震災前の二葉地区を再現した模型(製作:神戸大学槻橋研究室)を使って、昔の街と今を比較しながら、災害時の「逃げ道」を探るという内容です。

f:id:npofutaba:20190609134415j:plain二葉地区防災福祉コミュニティ(防コミ)の方3名と市内小学生8名、関西大学山住研究室の学生6名、神戸大学槻橋研究室の大学院生4名が参加しました。

まず、小学生たちは模型をもとに防コミの方々から昔の街の様子を聞きました。そして炊き出しカレーを食べた後、3つの班に分かれ、二葉地区の防災マップを見ながら、大学生と防コミの方と一緒に、災害時の避難ルートに危険はないか、昔とちがって安全になっているかなどをチェックする街歩きをしました。f:id:npofutaba:20190609130128j:plain

最後にそれぞれの班で「逃げ道」を発表しました。すでに決められている避難ルートであっても、実際に防災を意識しながら歩くと、災害時には気をつけないといけないことがあるんだという発表でした。f:id:npofutaba:20190609134209j:plain

発表を聞いていて、「逃げ道」を探すには環境に対する感度を上げることが必要で、歩きスマホ的な動き方をしていると見つけることができないんだと実感しました。また、今回のワークショップで、防コミの方と大学生そして小学生といった異世代交流を通した防災学習が地域コミュニティの活性化に寄与する可能性を秘めているのではないかと思ったりもしました。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。(やまずみ)