1月17日開催「やさしさわすれないで」掲載記事
タウン誌「ビバ!ニュータウン」2月号に「1.17+3.11やさしさわすれないで~東日本大震災からもうすぐ10年~」の記事を掲載していただきました。ビバ!ニュータウン様、ありがとうございます。
↓「ビバ!ニュータウン」2021年2月号紙媒体
20210209103116.pdf (vivanewtown.com)
↓「ビバ!ニュータウン」ホームページ掲載記事
「やさしさわすれないで」ふたば学舎3階講堂(長田区二葉町) | 編集記事 | ビバ!ニュータウン編集室 (vivanewtown.com)
先日(13日)、宮城と福島の両県で最大震度6強の地震が起き、負傷された方や住宅被害、土砂崩れなどがあったようです。さらに被害が大きくならないことを願っております。
今回の地震が東日本大震災の余震ということで、10年経ってそんなに大きな余震が起こったのは驚きです。地震は本当にいつどこで起こるかわかりません。備えの重要性を改めて感じました。弊館の震災学習でさらに伝えていこうと思います。(やまずみ)
震災体験学習の手引き作成
震災学習の際に使用する手引きを作りました。2013年に作成した震災学習冊子の縮刷・改訂版です。参加者が避難所体験など学習活動をしている時にポケットからすぐ取り出せるようにA6サイズ(外折り8ページ)の大きさにしました。
ふたば学舎の震災学習は、震災に「ついて」学ぶだけでなく、被災者や支援者に「なる」ように学ぶ体験型学習であり、参加者に自分とは違う誰か他の避難者になって震災の問題を想像してもらうための「避難者として考えてみる」欄を設けています。今後の震災学習で活用する予定です。(やまずみ)
余談/私感:発生が懸念される南海トラフ地震や首都直下地震の被害想定は、被害範囲が広すぎて公的な支援=公助は間に合わず、自助は(一人だけでサバイブするのでなければ)他者と関わる社会の中で限界があり、いつ起こってもおかしくない巨大災害での共助の重要性を示唆しています。
上記の震災学習での「避難者として考えてみる」には想像力を働かせて共助あるいは互助を意識するという意図があるのですが、そこには「エンパシー」と「社会」が欠かせないのではないかと、昨日ブレイディみかこ・鴻上尚史『何とかならない時代の幸福論』(朝日新聞社出版)を読んでいて感じました。『~幸福論』では、2人の著者がそれぞれ別著作でも述べている「シンパシーとエンパシー」(ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』新潮社)と「世間と社会」(鴻上尚史・佐藤直樹『同調圧力』講談社現代新書)がキーワードとなっています。
『~幸福論』によれば、シンパシーは自然に抱く感情的な同情で、エンパシーは同情できなくてもその人の立場を想像できる能力。(蛇足で言えば、ポール・ブルームの『反共感論』[Against Empathy]では、エンパシーはさらに「情動的共感」と「認知的共感」に区別され、前者が感情的な働きであるのに対して、後者が認知的・理性的とされています。『~幸福論』で言及されるエンパシーはあくまで後者の働きです。)そして、世間は自分と利害関係がある人たちによる世界のことで、社会は利害関係のない人たちで形成される世界ということです。
2019年の台風19号の時、東京都台東区の避難所でホームレスの人が入るのを断られてニュースになりましたが、それに関して同書で鴻上尚史さんは「避難所に集まった人達は、区役所にとって世間で、ホームレスは社会、ということになるんです。結局、区の役所の人の場合は世間を選んで、社会は無視したんです」(p.52)と述べています。災害救助法の現在地救助の原則(住民に限らず、旅行者や訪問者等も含めて救助の対象となる)を無視したとも考えられますが、このニュースに対してイギリス在住のブレイディみかこさんの息子さん(中学生)は「日本人は、社会に対する信頼が足りないんじゃないか」(p.51)と言ったそうです。社会への信頼不足というのは、利害関係がある世間の人たちのことは考えられるが、世間の外の関係のない人たちのことには想像が及ばないということですが、理性的なエンパシーと社会意識さえあれば不足を補えるようにも思えます。では具体的にどうするかはさておき(『~幸福論』を読むと「教育」が大切な手がかりのようです)、社会への信頼というのは災害時の共助あるいは互助のベースであり、それには、「エンパシー」と「社会」が欠かせないのではないかと・・・。
阪神・淡路大震災から26年の「やさしさわすれないで」
阪神・淡路大震災から26年となる1月17日(日)に恒例の1.17イベント「やさしさわすれないで」を、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下でしたが、人と人との十分な距離や換気など必要な感染予防措置をとった上で、開催しました。
今回は、次の3月11日で東日本大震災から10年を迎えることもあり、阪神・淡路大震災と東日本大震災、二つの震災の記憶を想い合う内容にしました。
宮城県石巻市で震災の伝承活動を行っている公益社団法人3.11みらいサポートさんにオンラインで石巻の被災状況と3月8日にオープン予定の伝承交流館「MEET門脇」の話を、神戸を中心に音楽を通した防災活動を続けている石田裕之さんには東日本大震災や熊本地震などの被災地での活動の話をしていただきました。また、石田さんが交流を続けているNPO法人石巻復興支援ネットワークさんとオンラインでつなげていただき、東日本大震災で被災されたみなさんの今の声を聞くことができました。そして午前の部の最後には、二葉小学校(=現ふたば学舎)2年生の時に阪神・淡路大震災で被災し、東日本大震災でも被災体験のある中野雄仁さんに貴重な体験談を語っていただきました。午後からは、東日本大震災で家族を失った高校生の旅路を描く映画『風の電話』の上映会を行いました。
参加者アンケートでは「オンラインだからこそ現地の方々の雰囲気が見てとれた」、「わすれてはいけないこと、つながりの大切さを再確認できました」といったご意見を頂戴しました。今後も1.17イベントを継続して、26年前の震災の中で芽生えた人々の「やさしさ」を忘れず、震災の記憶をつなげていきたいと思います。
今回お話しいただいた皆さま、そしてお越しいただいた皆さま、ありがとうございました。(やまずみ)
震災学習・勉強会(3)開催のお知らせ
11月28日(土)14時~17時に震災学習・勉強会(3)「災害にあった後の生活再建を考える」を開催します。
講師は、津久井進氏(日本弁護士連合会・災害復興支援委員会委員長)と宮定章氏(認定NPO法人まち・コミュニケーション代表理事、神戸学院大学「災害復興基礎論」非常勤講師)です。
自然災害で被災した時に知っておくと安心につながる生活再建制度について、講演と被災者生活再建カードを使った疑似体験を通して学びます。参加申し込みは電話かFAXで受け付けています。詳細はチラシ(↑)をご覧ください。よろしくお願いいたします。(やまずみ)
※参考書として津久井進さんの『災害ケースマネジメントガイドブック』を挙げておきます(↓)。
勉強会「災害時、感染を防ぐ安全な避難場所とは?」開催告知
コロナ禍は長期化し、ウイルスと共存する「withコロナ時代」が続きそうです。そうした中で自然災害が起こった場合、避難についてはどう考えればよいでしょうか?
そこで、感染症と自然災害が同時に起こる複合災害時の避難場所に関する勉強会を7月31日(金)14時から開催します。講師は、人と防災未来センター研究員の髙岡誠子さんです。災害医療が専門の髙岡さんは、自治体が避難所準備をする際の「避難所開設での感染を防ぐための事前準備チェックリスト」を人と防災未来センターから発表されています。
▼人と防災未来センター 新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時レポートvol.1
http://www.dri.ne.jp/exreportvolr0201
今回の勉強会は、避難所開設に携わる方だけでなく、避難場所での感染に不安を抱いている一般の方も対象としています。ご興味・ご関心のある方はぜひお申し込みください(定員30名)。詳細はチラシをご覧ください↓ (やまずみ)
令和2年度震災学習第一弾「減災ミュージックの試み」
動画共有サイトのYouTubeにある「ふたば学舎チャンネル」に、今年度の震災学習第一弾として「ふたば学舎・震災学習リモート企画『withコロナ 減災ミュージックの試み~防災士/シンガーソングライター石田裕之さんの5曲~』」と題する動画をアップロードしました。
https://www.youtube.com/watch?v=se7q-7tQh-k
先日、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が全面解除されましたが、今後もコロナウイルスと共存していくことになり、不安な日々は続きそうです。そうした生活の中で音楽には聴く人の心を癒し、気持ちの中で人と人とを結びつけるような減災の力があります。そこで、神戸市を中心に防災・減災に関する音楽活動をされている石田裕之さんに、時宜にかなった、心が和むオリジナル曲をstay homeで歌っていただきました(選曲はやまずみ)。みなさんの減災ミュージックになれば幸いです。ご視聴お願いいたします。(やまずみ)
石田裕之さんホームページ: