ふたば学舎の日常

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講演会「食物アレルギーっ子の防災―過去の震災から考える―」

本日、いたやどクリニック院長の木村彰宏先生による講演会

「食物アレルギーっ子の防災―過去の震災から考える―」

開催しました。

 

食物アレルギーはマイナーな問題でありますが

(それゆえ他者性が強い)、

東日本大震災の被災地におけるアレルギー対応食品の

受け入れ態勢の不備、今年8月に内閣府が公表した

南海トラフ巨大地震の甚大な被害想定

などの新聞報道を見ると、阪神淡路大震災を経験した長田の地で

「食物アレルギーっ子の防災」について考えることは、

マイナーな視点から改めて1995117日の教訓を

再考することにつながるでしょう。

 

木村先生がお話されたのは、まず、阪神淡路大震災の数ヵ月後に

おこなったアンケート結果から見えてくる

アレルギー疾患をもつ子どもたちの生活の変化についてでした。

避難所にいる場合は、ペットとの同居、喫煙者との同居、

入浴が不可能、食生活の変化など、アレルギー児にとっては

さまざまなマイナス要因が重なりますが、

アレルギー児が被災地の中心から離れたところに住んでいても

ライフラインがなかなか復旧しなかったこともあり、総じて

アレルギー症状の状況は悪化していったそうです。

 

また、食物アレルギー児の支援システムについては

あまり知られておらず、ほとんどの食物アレルギー児は

そうしたシステムを利用しなかったということでした。

 

アレルギー対応の支援物資にしても、数はあっても

必要な人に届くことはなく、そのことは東日本大震災でも

残念ながら繰り返されてしまったようです。

 

それらを踏まえて、災害時での注意点を

説明していただきましたが、いきなりまとめてしまうと

大切なのは次の3つの備蓄ということです。

1.ものの備蓄(薬を含む)

2.つながりの備蓄

3.情報の備蓄

 

こうしたことは食物アレルギーに関係なく防災として

必要な備蓄かもしれませんが、食物アレルギー児にとっては

災害時において欠かすことのできない重要な備蓄といえるでしょう。

 

阪神淡路大震災の時に痛感された、医師と患者との

医療情報の共有の重要性が、現在の木村先生の食物アレルギー診療の

原点になっているのだそうです。

本日の講演会も情報共有の場になったのではないかと思っております。

 

木村先生、参加者のみなさま、どうもありがとうございました。

 

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(担当:やまずみ)