ふたば学舎の日常

このブログでは【NPO法人ふたば(ふたば学舎指定管理者)】からの情報をお伝えしています。

雑感(3)、夏休み期間中プログラムについて

センターの夏休み期間中プログラムである
「夏休み子どもわくわく教室」では、小・中学生向けの
楽しくて勉強になる色々な教室を揃えています。
そして現在、ありがたいことに参加申し込みが
どんどん増えていっています。

定員間近の教室もありますので、
興味のある教室が見つかれば、
ぜひ早めにお申し込み下さい。
プログラム一覧と詳細はこちら↓
http://futabasyo.jp/modules/pico/index.php?content_id=100


以下、「夏休み子どもわくわく教室」プログラム中の
いくつかの教室を企画していく過程で私(やまずみ)が
意図したことを、宣伝をかねた雑感(3)として述べます。

意図したことは、一言でいえば、
「世界をもろに見る!」です。

たとえば、「のびたんと一緒に須磨・天井川へ」は
子どもたちに世界をもろに見てもらおうと思って
企画した内のひとつです。
チラシはこちら↓
「天井川自然観察会」チラシ.pdf

しかし、「世界をもろに見る!」とは
どういうことか?

外に出ると、スマートフォンまたは携帯の画面を見ながら、
さらにヘッドフォンで耳をふさいで歩いている人に
よく遭遇します。
外で歩いているときは体全体が世界に囲まれた状態で
あるわけですが、その世界に視線を向けたり耳を傾けたり
する大人は、町中では少ないように見えます。
それよりも、与えられた既製品を通して
間接的に世界に触れるほうがいいみたいです。

そうなると当然、世界に対する感度が下がってしまう
でしょう(私自身、「今日は暑い」や「めっちゃ寒い」とか
言うだけで、まわりの世界に対して新鮮に驚くということが
ほとんどなくなってきました・・・)。

でもやはり、世界をよぉく眺めると驚きに満ちています。
小さな生き物たちが織り成す世界なんかは
おもしろいことでいっぱいです。
(生物学者ユクスキュルの言葉を使えば、
各生き物の「環世界」です。)

たとえば、動物行動学者の日高敏隆氏のエッセイを
読むと、ボウフラ(もちろん蚊の幼虫です)の興味深い
性質が書いてあったりします
日高敏隆『セミたちと温暖化』)。
それによると、ボウフラには二つの性質があって、
まず、太陽の光と反対の方向に向かおうとする
マイナスの「走行性」。
それから、地球の中心に向かおうとする
プラスの「走地性」。
これら二つの性質によってボウフラは外界からの危険を
回避しているというのです。
でも、もし真っ暗な部屋で、水の入ったガラス容器の中にいる
ボウフラに対して、容器の下から強い光を当てると、
ボウフラは二つの性質によって身動きができない
二重拘束の状態に陥るわけです・・・おもしろいですねぇ・・・

しかし、これは私が本で読んだ話ですから
こうした小さな生き物の生態については
実際に見た方が数倍楽しいでしょう。

つまり「世界をもろに見る!」とはそういうことです。
言葉で表現される前の、世界が(広い意味で生き物が)動くさまを
直接自分の目で確かめるということです。

ところで、物理学者のリチャード・ファインマンは、
あるエッセイで、彼の父親に関する逸話を紹介しています
(リチャード・P・ファインマン『困ります、ファインマンさん』)。
ファインマンと父親が林の中を散歩している時のことです。
父親はファインマンに、ツグミが諸外国でどう呼ばれているか
言った後で、重要なのは呼び方ではなく、その鳥が
何をしているかだということを強調したそうです。
重要なのは「何をしているか」という「動き」なのです。

これも「世界をもろに見る!」にかかわる話で、
静的な名前=言葉ではなく、動的な様態への注視が
まさしく世界を見ることだというのを示している
ように思います。

そんなこんなを考えながら、子どもたちに、
動き続ける興味深い世界に対する感度を
(さらに)上げてもらおうと、
夏休み期間中のプログラムを企画していきました。

先述したように「夏休み子どもわくわく教室」では
楽しくて勉強になる色々な教室を揃えています。
お申し込みお待ちしています!

そして興味のある教室に参加して、
将来ふとしたときの「ひらめき」の種を植えて
ほしいと思っています!

(やまずみ)