今日は兵庫県立大学神戸防災キャンパス(人と防災未来センター東館)で講義をさせていただきました。大学院減災復興政策研究科の阪本准教授がご担当の科目「災害の記憶と継承論」において、ふたば学舎の震災学習の取り組みを紹介するという内容です。以前、阪本准教授とふたば学舎で別件の打合せをしていて、ひょんな流れで今日講義ということになりました。
ふたば学舎の震災学習は阪神・大震災の記憶継承に関わるものですが、その「記憶」にからむ難点を中心に話しました。たとえば、割り切りがちな「われわれ」の記憶=「阪神・淡路大震災」の記憶と表象不可能な言語の臨界点にまで至る「私」という個の記憶との齟齬をいかに同じ記憶継承の場に載せることができるかや、震災「学習」の中でいかに震災の「記憶」を位置づけるかなど(震災学習のコンセプトに係わることですが)、参考文献を使いながら説明しました。実際の震災学習は決められた時間枠でかっちりと行うようにしていますが、コンセプトの部分はけっこうグチグチ、だら~んとやっているなと自分で思います。
それはともかく、院生のみなさんは既に震災・防災に関連する活動をされていたり、阪神・淡路大震災で被災体験をされていたりするそうで、今後ふたば学舎の震災学習で協力してもらおうと考えています。阪本先生、大変有益な機会を与えてくださり、ありがとうございました。
今日の講義で参考にした主要文献は以下の通りです。講義内で言及したものもありますが、これら参考文献から今日どんな話をしたのか、あるいはふたば学舎の震災学習での私の思考癖みたいなものが見えてこないでしょうか??
井上忠『モイラ言語』、フーゴ・フォン・ホーフマンスタール「チャンドス卿の手紙」、サミュエル・ベケット『名づけえぬもの』、ルードヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン『論理哲学論考』、ナシーム・ニコラス・タレブ『反脆弱性』、ダンカン・ワッツ『偶然の科学』、丸山眞男「幕末における視座の変革」、高木光太郎『証言の心理学』、渡邉英徳『データを紡いで社会につなぐ』、額田勲『孤独死』、塩崎賢明『復興<災害>』、村上龍『半島を出よ』、木村玲欧『災害・防災の心理学』、水野リカ『学習効果の認知心理学』、ジェームズ・L・マッガウ『記憶と情動の脳科学』、テッサ・モーリス-スズキ『過去は死なない』、映画『ゆきゆきて、神軍』
(やまずみ)