ふたば学舎の日常

このブログでは【NPO法人ふたば(ふたば学舎指定管理者)】からの情報をお伝えしています。

舞子高校で「被災の語り歌」

今年1回目のブログです。遅ればせながら本年もどうぞよろしくお願いいたします。

本日、兵庫県立舞子高等学校の1.17震災メモリアル行事にシンガーソングライターの石田裕之さんと「被災の語り歌」で30分間出演させていただきました。

1.17震災メモリアル行事

石田さんが語り歌4曲を披露、私(山住)が進行役として曲の前後で少し話をするという構成でした。石田さんによる歌と演奏は素晴らしいもので、先生方や取材に来られていた記者の方からお褒めの言葉をいただきました。

f:id:npofutaba:20170113080843j:plain

一方、私はと言えば、大変恐縮ながら、いつものようにその時に思いついたことを話しました。ただ、言語化された震災の記憶からこぼれる記憶という話から、フィボナッチ数列1、1、2、3、5、8、13...黄金比(1:1.618...)と無理数を連想し、過去の確定した記憶ではなく、22年経った今もずっと続く(φ的な)震災の記憶を「被災の語り歌」は表そうとしているというような話をしましたが、記憶継承のあり方としておもしろいなと自分で(!)思いました。完全に自己満足で、すみません・・・。

いずれにせよ、石田さんに披露していただいた語り歌が聴いてくださった方々の心に残っていたらいいなと思います。舞子高校の先生方、関係者のみなさま、それから参加された高校生のみなさま、ありがとうございました。

ちなみに「被災の語り歌コンサート」を3回行う予定にしています。実施日は、1/21(土)、2/25(土)、3/25(土)です。参加無料、申込不要ですので、お時間があればぜひお越しください。詳細はこちらです↓

ふたば学舎(神戸市立地域人材支援センター) - 阪神・淡路大震災を忘れない『被災の語り歌コンサート』

*司会者としてできるだけ余計な話はしないようにしようと思いますが・・・。

(やまずみ)

年内最後にイベントの告知など

今日はふたば学舎、年内最終営業日です。お世話になった皆様、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

で、最後に告知や何やかんやです。

来年1/17(火)10:00~12:00に「1.17 その日の迎えかた、受けとめかた」と題する公開サロンを行います。大阪大学大学院生らで構成される「名を呼ぶ日 実行委員会」が主催、ふたば学舎が共催で、阪神・淡路大震災から22年を迎える日に改めて1.17の記憶のあり方について参加者同士で話し合います。参加無料です。

 

f:id:npofutaba:20161227132515j:plain

それから2/4(土)10:00~14:00に地域活性化イベントとしてドキュメンタリー映画『ゆきゆきて、神軍』の上映会と原一男監督のトークショーを行います。

ふたば学舎(神戸市立地域人材支援センター) - 映画上映のお知らせ

震災関連ではありませんが、奥崎謙三という個人を通した過去の(戦争の)記憶に関する映画で、その記憶をいかに表現する(したの)かトークショーで聞けるとたぶん思いますから、私自身は過去の記憶の表現という点で震災学習の参考にもしたいなと考えています。いずれにしても強烈な映画とトークショーです。参加費は上映会、トークショー、各500円で要申し込みです。どう強烈なのか、ぜひご覧になってください。(やまずみ)

 

(以下、雑感)

今年も震災学習などの実施にあたっては無節操にいろんな所から影響を受けました。『ゆきゆきて、神軍』における演出の仕方もそうですし、たとえば深海生物オオグソクムシの「心!」のあり様なんかにも影響されました。ちなみに、森山徹著『オオグソクムシの謎』によると、発現せずに隠れている行動がオオグソクムシなどの生物の「心」ということになるのですが、そうした隠れた行動が生じる契機は何かというと、他の生物など「うかがい知れない他者」との接触なのです。他者と接点を持つことによって、隠れた行動=心が起こる・・・たとえば、災害避難所で見ず知らずの人たちが集まることを考えれば、避難者の心は・・・などなど。

f:id:npofutaba:20161106100200j:plain

f:id:npofutaba:20161227132351j:plain

そういえば、2年前の震災20年事業の「学生による震災20年記憶のフラット化プロジェクト」(このネーミングは渡邉英徳著『データを紡いで社会につなぐ』を参照しました)で作成した防災ソング「ぼうさい☆ジャンケンポン!」のCDジャケット。デザインは外注しましたが、口ずさみながら防災の基本的動作を学ぶ明るい曲調の歌ですので、ジャケットはポップにしたくて、デザイナーの方にThe Whoリキテンスタイン風アルバムジャケットみたいにして下さいと伝えました。

何だか常に何かの影響を受けています。

↓左が「ぼうさい☆ジャンケンポン!」、右がThe WhoTHE WHO HITS 50!』のジャケット

f:id:npofutaba:20161106100137j:plain

被災の語り歌コンサート、ラスト3回

今年の9月から開始した「被災の語り歌コンサート・ツアー」ですが、残り3回のコンサートの日時と会場が決定しました。

(第1回と第2回についてはコチラ↓

被災の語り歌コンサート・ツアー、第1回が終わり、次は第2回 - ふたば学舎の日常

震災の記憶を歌で、体験学習で、映画で伝える - ふたば学舎の日常

以下がチラシです。

f:id:npofutaba:20161208141234p:plain

f:id:npofutaba:20161208141304p:plain

すべて阪神・淡路大震災の記憶を歌によって伝える内容で、シンガーソングライターの石田裕之さんに歌ってもらいますが、各回構成や出演者が異なります。入場無料、申込不要ですので、お気軽にお越しください。(やまずみ)

 

まったく余談:ローリング・ストーンズの新譜『ブルー&ロンサム』は全曲ブルースのカバーで素晴らしいアルバムですが、カバーする時のストーンズ特有のアレンジ(解釈)力に加えて、どの曲もすごく深みを帯びているのが驚きです。で、震災の記憶継承については、約22年前の記憶をいかに「アレンジ」して、記憶が有する不安定さやほころびを取り戻すかを考えたりするのですが、意外とストーンズにヒントがあったりしてと思った次第です。

今年3回目の1泊避難所体験

昨日から龍谷大学の学生さん14人を対象に1泊避難所体験を行っています。

語り部体験談、防災の知恵学習、避難スペース作り、防災ゲーム、まち歩き体験、といった内容で、学生さんらが知らない約22年前の阪神・淡路大震災を(疑似)体験してもらっています。

f:id:npofutaba:20161203175708j:plain

今年は結局ふたば学舎で1泊避難所体験を3回実施しました。来年は何回行うかわかりませんが、2泊にすればリアリティが増すのではないかとふと思います(個人的には体力的にきついです・・・)。(やまずみ)

東京の高校生を対象にした震災講話

本日、東京都立日本橋高等学校2年生280名を対象に震災学習を行いました。

内容は、阪神・淡路大震災に関する語り部体験談です。語り部は、元二葉小学校教員の佐々木勉さん、現在長田港で漁師をされている尻池宏典さんのお二人。

f:id:npofutaba:20161109112515j:plain

佐々木さんには地震が起きた後、避難所となった二葉小学校と担任だったクラスの子どもたちのことについて、そして震災時に高校生だった尻池さんには自宅でどのように被災されたか、その後どのような気持ちと行動の変化があったのかなどについて語っていただきました。

f:id:npofutaba:20161109115708j:plain

生徒の皆さんは昨日、広島で平和学習を受け、今日は神戸で震災学習の後、自由行動ということでしたが、神戸の街並みを眺めながら、ふたば学舎で聞いた21年前の震災の記憶を思い起こしてもらえればいいなと思います。(やまずみ)

震災、防災、そして防災

昨日から今日にかけて3つの震災関連イベントを連続で実施しています。

まず昨日の13:30から、東日本大震災での遺体安置所を舞台とする映画『遺体~明日への十日間~』の上映会を行い、95人の方が鑑賞されました。アンケートの中には「震災の記憶を風化させない為に、又、こんな映画会をやってください」というご意見がありました。今後も震災の記憶を伝えるために上映会を実施することを考えています。

f:id:npofutaba:20161029132239j:plain

また、昨日の14:00から今日の11:30まで、117KOBEぼうさいマスター育成会議(神戸市、神戸新聞社)主催、ふたば学舎共催の「避難所体験キャンプ」があり、小学生と保護者22人が、阪神・淡路大震災時に避難所となった旧二葉小学校(ふたば学舎)の講堂で1泊して防災の知識を学ぶ避難所体験に参加しました。このキャンプについては本日の神戸新聞に掲載されています。

f:id:npofutaba:20161030073823j:plain

そして、今日の10:00からは二葉地区防災福祉コミュニティ・二葉ふれあいまちづくり協議会と連携し、二葉地区・駒ヶ林地区を対象とした防災訓練を学舎前グラウンドで行っています。二葉地区・駒ヶ林地区の住民のみなさん(224人)が参加され、煙体験やバケツリレーなどに取り組まれています(12:30終了予定)。

f:id:npofutaba:20161030101436j:plain

(やまずみ)

「忘れないでおこう」

阪神・淡路大震災の記憶を歌を通して伝える「被災の語り歌コンサート・ツアー」は、これまで9/10(土)と10/1(土)に実施しましたが、

被災の語り歌コンサート・ツアー、第1回が終わり、次は第2回 - ふたば学舎の日常

震災の記憶を歌で、体験学習で、映画で伝える - ふたば学舎の日常

あと3回、来年の1/21(土)・2/25(土)・3/25(土)に行う予定です。すべて参加無料です。詳細については11月末か12月はじめにお知らせします。

で、昨日、1/21の会場である北神区民センター大ホールに音響打ち合わせのために行ってきました。きれいなホールで音もよく響きそうです。

f:id:npofutaba:20161027143440j:plain

f:id:npofutaba:20161027143531j:plain

区民センターを出てすぐの所に「あのね」と題する像があったのですが、1/21は「あのね、22年前(!)に阪神・淡路大震災があって・・・」というふうに(音楽+映像も使って)記憶を伝えたいと思っています。当日は、「被災の語り歌コンサート」で過去の震災を振り返りながら歌を堪能し、その後、有馬温泉に行く、なんていいんじゃないでしょうか・・・。(やまずみ)

 

*「被災の語り歌」は、阪神・淡路大震災を忘れないための媒体です。過去の震災は、そこから汲むべき教訓があっても、時が経てば忘れてしまう、ゆえに忘れないでおこう、といったことは色々と言われてきました。以下はそうしたことに関するメモです。

「(おほなゐ[大地震]の後)人皆あぢきなきことを述べて、いささか心のにごりもうすらぐと見えしほどに、月日かさなり年越えしかば、後は言の葉にかけて、いひ出づる人だになし。」(鴨長明方丈記』)

「(災害を防ぐ)唯一の方法は人間がもう少し過去の記憶を忘れないように努力するより外はないであろう。」(寺田寅彦津波と人間』)

「それが災害対策の難しさです。警告を対策にまで結びつけるには、人間の忘れっぽさのことまで考えて行う必要があるのです。」(畑村洋太郎『未曾有と想定外』)

それから、NPO法人ふたば理事の和田幹司さんからご恵贈いただいた『グレーター真野の町から―震災21年の報告―』には、上記の『方丈記』の引用があり、その前に次のように書かれています、「震災の神戸と書いてきたが、明石にも、淡路にも芦屋・宝塚・西宮にも大きな被害がある。忘れないでおこう。」(p.207)