9月12日に福島県立郡山高校187名対象の震災学習と龍谷大学政策学部2回生12名対象の1泊避難所体験を実施しました。
震災学習では生徒が半分に分かれて復興をテーマとしたディスカッションと新長田南地区のまち歩きを交互に行いました。ディスカッション内容は、阪神・淡路大震災から22.5年経った新長田南地区の様子をガイドの説明を聞きながら見て歩いた後(あるいは見る前に想像して)、龍谷大学の学生さんらを交えて討議するというものでした。テーマは復興でしたが、何をもって復興というのか定かでありませんので、新長田南地区に関する再開発事業の進捗状況や人口・世帯数および事業所数の推移など客観的なデータを提示してから、まず各自が考える「復興」を定義づけてもらいました。その後、まち歩きで見た(あるいは見る前に想像する)地域の姿と比較した上で(さらに福島で経験した東日本大震災についてこれまで思ってきたことを反映させて)、復興に関する考えを発表してもらいました。
被災者個人の生活復興がなされても社会が復興していなければ・・・あるいは社会が復興していても・・・そもそもどういう状態が復興なのか・・・もしかしたら復興という言葉が消えた時に復興がなされるのかもしれず・・・。簡単にまとめられるテーマではありませんが、高校生のみなさんには将来自分たちが担うことになるかもしれないテーマとして、さらに考究してほしいと思いました。
ちなみに、阪神・淡路大震災に関するデータの提示については、(震災学習では新長田南地区の被災・復興に焦点を当てたため、ディスカッションで東日本大震災についてはほぼ言及しませんでしたが)開沼博著『はじめての福島学』を参考にしました。その他、今回、福島の原発事故にからむ被災については山下祐介ほか著『人間なき復興』や井上きみどり著『ふくしまノート』や端野洋子著『はじまりのはる』などを参照しました。自分自身がさらに考究しないとな、と痛感しております・・・。
それから郡山高校の震災学習終了後、龍谷大学学生12名対象の1泊避難所体験を続けて実施しました。段ボールで避難スペース作りをし、避難所で起こる問題を想像して考えてもらいましたが、さすが大学生、色々と意見が出ました。
実際に段ボールの避難スペースで1泊したわけですが、やはりぐっすりと寝ることはできなかったようで、翌朝は一様にぐったりしていました。朝食としてポリ袋で炊いたご飯(災害食)は意外においしかったですが、もぐもぐもぐ・・・という感じでした。最後に、災害時の避難所の様子は、今も昔も(阪神・淡路大震災の時から変わらず)ストレスの溜まる悪環境ですから、その点を大学で防災/減災を学ぶ時に考慮してほしいと伝えました。ふたば学舎においても避難所の改善策を考えて、震災学習に反映させたいと思っています。(やまずみ)