ふたば学舎の日常

このブログでは【NPO法人ふたば(ふたば学舎指定管理者)】からの情報をお伝えしています。

夏休み期間中の震災学習イベントについて

コロナ禍の影響で震災学習イベントを始めるのが遅れてしまいましたが、学校の夏休み期間中に次の3つの子ども対象イベントを実施する予定です。

 

①7月28日(水)「防災YORI活動『持ち寄り炊き出し体験』」。これは、災害時の避難所で地域の人々が食材を持ち寄って炊き出しを作るという想定の共助の試みです。地域の婦人会の方々の協力を得て、小学生の子どもたちと一緒におこないます。

②8月5日(木)「Zoomでボードゲーム~在宅避難でできる遊び~」。災害時の避難生活(特に在宅避難)の中で子どもが抱えるストレスは見過ごされやすいですが、オンラインでボードゲームをやってみて、ストレス緩和とコミュニケーション不足を補うことができるかを考えるイベントです。

③8月19日(木)「台風とともにやってくる高潮ってなに?〜高潮のしくみを知ろう〜」。これから台風が増えてくる時期ですが、ふたば学舎のような海が近い地域では台風の時には高潮が心配されます。そうした高潮が起こる仕組みを知ってもらって防災意識を高めてもらうイベントで、講師は気候(気象)学が専門の福島あずさ先生(神戸学院大学)です。

 

②③のイベントは、ふたば学舎「夏の陣」で参加募集中(7月16日まで)です。詳細は、ホームページをご覧ください。

ふたば夏の陣2021〜夏休み子ども教室@ふたば学舎 | ふたば学舎 (futabasyo.jp)

 

(やまずみ)

 

以下、余談。

昨日、兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科で院生の方々にふたば学舎の震災学習について話をさせていただきました。前々から震災学習のコンセプトを改めて考えようと思っていまして、下記の文章を書いて、紹介しました。特にリアクションもなかったのですが(汗)、もう少し丁寧にまとめて推していきたいと・・・BOTS!

 

  • 震災学習コンセプト:BASED ON TRUE STORIES(BOTS)

ふたば学舎の震災学習の内容は阪神・淡路大震災に関する実話に基づいている。参加者はその実話をなぞりながら被災者を模倣し、震災の記憶と教訓を受け継ぐ。

たとえば、学習メニューのひとつ「避難所体験」で参加者は、家族に見立てたグループで、段ボールを使って避難スペースを作る。その時、彼/彼女は、自宅が全壊した80歳で持病のある高齢者といった具体的な被災者になり、阪神・淡路大震災の実際の避難者に近づき、避難ストーリーの中に入っていく。彼/彼女は、被災者を模倣することによって記憶を体得する。

ストーリーにこだわるのは、震災学習が参加者に受け渡そうとする震災の記憶と教訓が、地震のメカニズムなどの自然現象というより、あくまで人間にかかわることだからだ。人間は常に何らかのコンテクスト(生活の流れ)の中にいる。被災者のコンテクストは被災のストーリーを形成し、記憶として他者に継承される(ストーリーを形成しない記憶の断片は被災者の中にとどまり続ける)。

また、科学的研究(神経生物学)では、他者に対する信頼と共感力(エンパシー)が高まった時に生じる神経伝達物質オキシトシンがストーリーによってもたらされることがわかっている。ただし、信頼と共感力を維持するためにはストーリーへの注意が持続されなければならない(Paul J. Zak “Why Your Brain Loves Good Storytelling” Harvard Business Review, October 28, 2014 参照)。しかしながら、私と他者との信頼は当然相互の関係の中で生まれる。それゆえ重要なのは、一方の人間に生じるホルモンではなく、両者の関係性である。

 では、震災学習において震災の実話(性)はいかに担保されるのだろうか。それは、阪神・淡路大震災時、実際に避難所となった旧二葉小学校(現ふたば学舎)の現在に至る歴史によってである。過去の震災で起こったことは現在においても起こるかもしれない。過去の被災者は現在の私に入れ替わるかもしれない。そうした意識が現在から過去への問いかけ(現在と過去との関係)を喚起し、今後も震災ストーリーに対する注意を持続するだろう。